目的別 役員研修のテーマと事例。脳科学をベースとした研修

目的別 役員研修のテーマと事例。脳科学をベースとした研修

お役立ち情報 脳トレ研修(企業研修)

昨今、脳科学を取り入れたトップマネジメント層(経営幹部)向けの企業研修が、注目を集めています。科学に基づくため、再現性が高く、一過性で終わらないということがその理由です。

脳科学をベースにした、トップマネジメント層や管理職向けの研修とは、どのようなものなのか、また、どのような効果があるのかなどをピックアップしてみました。

以下、いくつかのテーマと導入事例をご紹介いたします。

もくじ

脳科学をベースとした企業研修とは?

脳科学というと難しいように聞こえるかもしれませんが、脳の仕組みが解明されはじめ、「脳の使い方」という視点から人を理解できるようになりました。さらに応用が広い範囲で可能となり、ビジネスの現場にも落とし込めるようになったことが注目すべき点です。

欧米では、Google社などがマインドフルネスを取り入れた例が知られています。日本の企業においても活用事例が増えてきています。今まで、リーダーシップのようなものは、特定の人の体験に基づくものとして指導されてきました。脳科学を活用することで、特定の「脳の領域を鍛える」「脳の使い方を身につける」ことで、誰にでも再現性高く身につけてもらえるようになってきたのです。

脳科学をベースとした研修には、どんなものがあるか、事例とともに見ていきましょう。

理念浸透は、なぜ起こるのか?

企業の成長発展を促すためには、トップダウンで指示命令を単に伝えるだけではなく、一体感ある組織にしていく必要があります。
そのために、皆が共感できる大きな目的の共有が重要な役割を果たします。

通常、それは企業理念(フィロソフィ)であるはずなのですが、多くの場合、企業理念がお題目になってしまいます。どうすれば、社員の皆さんに納得して腑に落としてもらえるのか、何から進めていけばいいか分からないことが多いようです。

一体感を築くベースとなるのは、信頼関係です。その流れは、次のようになります。

導入の流れ

  1. 一対一で信頼関係を築く
  2. チームで信頼関係を深める
  3. 仕事の意義を腑に落とす
  4. ビジョン(企業理念)を共有する
  5. 1〜4を継続して行う

理念浸透の最大のポイントは「信頼関係」にあります。

脳科学を取り入れて企業理念の内在化を促す

ある企業(A社)の例をお伝えします。
A社は、素晴らしい理念を持っており、社員に浸透させるという目的で、週1回の朝礼で理念の唱和を全社員で実施していました。

しかし、残念ながら、単なる「お題目」になっていました。

そこで、「社員に理念(フィロソフィ)を浸透させる」という脳の使い方を改め、「理念(フィロソフィ)に共感してもらう」ということを脳トレ研修を通して始めました。
それは、単に言葉の言い換えではなく、トップマネジメント層(経営幹部)が新しい脳の使い方を身につけることを意味します。具体的には、従来型の脳の使い方から、進化型の脳の使い方を身につけることです。

それにより、社長を始め経営幹部と一般社員の信頼関係を醸成し直すことになりました。

信頼関係を醸成するとは、トップダウンで何かをしようとしていた時とは、まったく逆のことが起こります。社員たちが自発性を育む脳の使い方を始めるのです。トップの脳の使い方が変わることで、一般社員も自発的に脳の使い方を変えるということが起こったのです。

その結果として、先代から受け継がれてきた理念の奥にある深い意味や、自社の存在意義などに、社員たちの意識が向けられるようになるのです。

トップダウンだけで理念浸透をしようとしていた時は、「押しつけ」になってしまい、社員が心を無意識に閉ざし、理念の意味を理解しようとする状態にならなかったのです。

トップマネジメント層が「信頼の醸成」に目を向けるという脳の使い方に変わってくると、目的が周囲に伝播する(目的伝播)ことが脳の中で起こり、社内の雰囲気に変化が生じてきます。

そのような時に、全社員が集まる決起大会で「理念の実践」が個人の人生をも幸せに豊にできることを脳科学的に伝えました。

すると、一般社員の方々にとって、自社の経営理念に対する親しみが湧いてくる。と同時に、より良い人生を作る脳の使い方でもあることに気づくようになりました。

公の器として大きな理念を掲げる会社において、まずは、社内での信頼関係を今一度醸成し直し、そのあとで、理念の深い意味を理解してもらうこと。
そのようなステップを踏むことで、全員で力を合わせ会社をもっと良くしていきたいという気持ちが生じ、理念の内在化が起こるのです。このような組織では、集合知性が発揮され、普通の知性の人たちが天才知性を超えるパフォーマンスを出すことができるようになるのです。

集合知性についてはこちら

一体感を高めるチームビルディングの要諦

一体感は、高いパフォーマンスを発揮するためにとても重要であることが科学的な研究からわかってきています。
チームビルディングにおいて、この一体感を持つことが大切なのですが・・・

新しく組織のトップに就任したが、これまでの役員たちと考え方が合わず苦労している。というお話しはよくあります。

早々に明確な目標を設定することも重要ですが、ここでも、信頼関係を築くことが非常に重要になってきます。

同じ方向に向かって進んでいけるように、ベクトルを合わせて、高い目標を掲げるチームになるために大切なこと。
それが信頼関係に基づく一体感であり、チームビルディングをする時に気をつけなければいけないことなのです。

脳の特性を知ることで誤解から信頼へ転換した事例

親から家督を継いだ2代目、3代目の経営者によくあるお悩みです。
その一例を見ていきましょう。

父親である先代がご病気になり、副社長として会社に入ることになった人の例です。

その副社長は、社内のIT化など、新しいことを始めたいが、なかなか賛同を得られずに悩んでおられました。

旧来の役員の方々も、新・副社長も、従業員の幸せと会社の発展、社会やお客様への貢献を願う気持ちには変わりありません。

ただ、人間の脳では、これまでのやり方を変えたり、新しいやり方を取り入れたりするときに、抵抗を感じる特性が現れます。

そこで、経営幹部向けに脳トレ研修を実施するとともに、各役員の方との個人セッションを実施しました。
脳の特性や使い方を知っていただくと同時に、NDC脳力開発トレーニングを導入しました。NDC脳力開発トレーニングでは、脳の進化成長を加速するとともに、共感脳力を鍛えることができます。意見が合わずに対立関係を作っていた脳の使い方から、お互いを理解し、同志として同じ想いを共有できる脳の使い方に変化していくことを実感いただきました。それにより、役員同士の風通しが良くなり、一体感を醸成することができたのです。

NDC脳力開発トレーニングについてはこちら

モチベーションを高める脳の仕組みを知る

モチベーション研修というのは、企業研修のなかでも定番ですね。

従業員が積極的に自ら燃えるような、活気ある組織にして、組織全体の生産性の向上を図りたいと考える経営者は多いのではないでしょうか。

仕事に対する継続したモチベーションは、内発的動機づけが大切であることはもはや周知の事実となっています。

「やらされ感が強い」、つまり、内発的動機づけが醸成できないと、従業員のやる気の低下を招きます。それは、自立的に仕事を進めることの妨げになるのです。

そのために、内発的動機がどのように起こってくるかを脳の仕組みから理解する必要があります。それは、単に「モチベーションマネジメントの知識とスキル」を身につけるといった表面的なことでは解決できません。
トップマネジメント層が、進化型の脳の使い方を身につける必要があるからです。

信頼をベースに想いを伝えるが、内発的動機づけに繋がる事例

従業員のやりがいや幸せを考えて、社員向けの研修の導入をしても、実際には上意下達になりがち。また、社員から意図したような反応はなく、経営者の想いは一方通行に・・・。従業員のことをいつも考えているのに、その想いがなかなか伝わらないことで悩んでいる経営者の方は少なくありません。

「想いが伝わる」とは脳科学的には、いったいどういうことなのか?

リーダーのビジョン・志がメンバーそれぞれに、自分自身の志として伝播されていくことを「目的伝播」と言います。脳トレ研修では、経営者や管理職の方たちに脳の仕組みを理解してもらい、部下と信頼関係を構築し深めること実践していただいた後、「目的伝播」を起こす脳の使い方のトレーニングをしていただきます。

社員同士の心と心が通い合うようになって、信頼関係が深まり、経営者が社員を思う気持ちが伝わり「目的伝播」が起こることで、自然に部下のモチベーションを向上させることに繋がるのです。

「目的伝播」については、書籍『なぜ稲盛和夫の経営哲学は、人を動かすのか?』Chapter6-08をご覧ください。

伝わるコミュニケーションとは?

人それぞれに違う価値観や就業スタイルの多様化など、激動のなかでコミュニケーションが疎かになり、些細な行き違いから大きなミスに発展してしまうこともあります。

より強い組織にするために、また、どんな時代の変化にも適応できるためにも、コミュニケーションは、立場や職種をこえて重要なスキルのひとつになります。

コミュニケーション研修も企業研修のなかでは、定番の研修ですが、近年はその手法もさまざまです。

脳の仕組みを知ることで、いつの時代にも通用するコミュニケーションが可能となる

「部下に遠慮して言いたいことを言えない。なんとかしたい」「最近の人は、ちょっと厳しい言い方をすると、すぐに会社に来られなくなってしまう」
そういうことが続いて、言いたいことを言えなくなってしまった。

最近、よく聞くお悩みです。

事例は社員10名ほどの会社の社長さん。

独立起業された、ある経営者の方の例をご紹介しましょう。前職で厳しい上司・先輩の下で長年、働いてきた社長自身。同じように部下に接することが、部下を成長させると信じておられました。

一方、従業員からは、「社長は何に関しても、すぐに怒る」「社長には話しかけて欲しくない」といった声が聞かれました。

今までいろいろなコミュニケーション研修を導入された経験もあるのに、状況は変わらず。

社長も社員も、コミュニケーション不足が状況の悪化を招いていることは薄々わかっていました。

そのような背景の中で、社長も含めた社員全体で脳科学に基づいたコミュニケーション研修を導入。

研修を通じて、コミュニケーションで一番大切なことは、「いかに伝えるか」ではなく、「いかに相手を理解するか」が腑に落ちたということでした。お互いの脳の使い方の違いを知ることからはじまり、過去の経験の自己開示、相手の気持ちや視点を受け取るなどのさまざまなワークを体験しながら、社長と社員さんたちの心の距離を縮めることができました。

今では、会社の業績が3倍に伸びたというだけでなく、従業員の方が、自主的に全員参加で毎月イベントを企画するなど、笑顔あふれる活気ある職場に変身したというお声をいただいています。

まとめ

目的別の課題と事例、研修に脳科学を導入することの意義をお伝えさせていただきました。

脳科学というと難しそうで理解できるのだろうか?など、心配される方もおられるかもしれませんが、当社で長年提供している脳トレ研修は、脳科学理論をベースにして、大変わかりやすいと定評をいただいております。そして、脳トレ研修の実効性は一時的に終わるのではなく、受講者の皆さんが職場や日常での脳トレの実践を継続しやすくなっています。科学が再現性を大切にすることの証でもあります。

説明会も開催していますので、お気軽にお問合せください。

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