ポジティブな言葉が脳を進化させる科学的理由

ポジティブな言葉が脳を進化させる科学的理由

お役立ち情報

もくじ

ネガティブバイアスとは

人間の脳には、ネガティブバイアスという特性があり、ネガティブなことのほうがポジティブなことよりも意識がいきやすい特性を持っています。

このネガティブバイアスがあるために、言葉では、ポジティブな形容詞よりもネガティブな形容詞のほうが圧倒的に多いということが分かっています。

例えば、ニュースを見ていても、ネガティブなニュースが圧倒的に多いように思います。

これは、世の中でネガティブなことばかり起こっているわけではないのですが、メディアの人たちがより多くの人にニュースを見て欲しい。

ネガティブなニュースのほうが見る人が多いという結果から、ネガティブなニュースが多く報道されるのだと思います。ネガティブなほうに意識を向けてしまうというのが、人間の脳の特性です。

人類が生き延びるために必要だった

人間が高い文明を持つ前は、生き延びるという意味で、ネガティブなことは、非常に役に立ってきたわけです。

例えば洞窟とかに住んでいる時代、近くでトラがうろうろしているとき、トラに出くわす前に、できるだけ早く察知できることは大事なことでした。例えばトラの足跡が残っていたことに早く気付くほうが自分の身を守れるわけです。人類が高い文明を持つ前に、生き延びるという意味では、ネガティブバイアスという脳の特性は確かに役に立っていました。

現代社会において脳の潜在能力を引き出すために

しかし、人類が進化してきて、脳のことが解明されてくると、ネガティブバイアスよりも、もっとうまく脳を活用できる脳の使い方があることが分かってきました。

それが、ネガティブバイアスを軽減しようとすることです。ネガティブばかりに偏らず、もっとポジティブなものも、ネガティブなものも両方向から見る、そういう脳の使い方が、人間の脳の力をより発揮させることが出来ると分かってきました。

ただ、もっと万遍なくというと、どうしてもネガティブなことに意識がいってしまう。かなり意識してポジティブなことを見ないと、大きな偏りというのはなかなか補正できません。

ネガティブバイアスとの付き合い方

ネガティブバイアスがあると、部下を指導する、あるいは子どもをしつける場合に、ネガティブなことを言って指導することが多くなります。

例えば早く寝ない子どもに、「早く寝ないとおばけが来るよ」みたいなことです。皆さんも聞いてきたと思いますし、皆さんもひょっとするとお子さんに言ってしまったりしているかもしれませんが、それがネガティブな言い方です。

「おばけが来るよ」とか、「鬼が来るから早く寝なさい」みたいに言われると、気持ちが沈んでしまいます。

それよりは、例えば野球が好きな子だったら、「早く寝ると体が大きく成長して、大谷選手みたいに素晴らしい選手になれるよ。だから、早く寝ようね」というポジティブな言い方のほうが、気持ちが前向きになりモチベーションも上がるのです。

人を指導する場合も、子どもをしつける場合も、普通に関わる場合も、もっとポジティブに意識を向けていくと、非常に気持ちが明るくなって、前に進もう、もっと成長、進化しようというエネルギーが強くなります。

「じゃあ、よくないこととか、できていないことを直すとか、克服するというのはしなくていいんですか」とよく質問されます。

できていないことは、その人にとって苦手なことのはずです。それを克服していくというのは、かなりのエネルギーが必要です。そのエネルギーになるのが、実はポジティブなイメージなのです。

エネルギーが非常に大きくなったところで、自分の苦手なものを克服することができるのです。

エネルギーがどんどん落ちるようなネガティブなことを言って、苦手なことを克服しなさいとか、これはよくないから治しなさいといっても、それを乗り越えるエネルギーにはならないのです。

ポジティブなことにフォーカスする

人がもっと成長・進化していく、あるいはそれぞれの人が自分に自信を持つ、自己肯定感が健全になるという意味でも、ネガティブなことにばかり意識を向けるのではなく、ポジティブなことに目を向けて、お互いに成長・進化を促していけたらと思います。

人を指導するときのヒントになればうれしく思います。今日もお読みいただきまして、ありがとうございました。

関連記事